カリフォルニアクルミ産業
フランシスコ会の神父によりクルミの木がカリフォルニアの大地にもたらされたのは1770年頃です。
19世紀後半に南部で商業ベースの栽培が開始し南部一帯に広がりました。
その後栽培が北部に移動し、灌漑設備の整備や栽培方法が向上し、
20世紀後半にカリフォリニアの中央を縦走するセントラルバレー(盆地平野地帯)一帯に栽培が拡大し、
世界の主要な生産地として産業が確立しました。
地中海性の温暖な乾燥した気候、肥沃で水はけの良いローム質の土壌、
恵まれた太陽と昼夜の温度差がクルミの栽培に最適です。
カリフォルニアでは接ぎ木した若木の植え付けから約5年で単年ベースの採算に見合うとされています。
然しながら農園新たに開拓するには土地代金に加え、
開墾、灌漑設備、植え付けや毎年の栽培コストに収穫機械の購入など大掛かりな投資が必要となります。
品種改良や栽培方法の研究の他に徹底した防虫管理や農薬利用などの規定や報告が義務化され管理されています。
また効率的な収穫、乾燥、脱脱殻加工など迅速に対応出来るシステムが構築されています。
新興国の需要拡大や健康的な食材への関心を背景に、
カリフォルニアでクルミやアーモンドなどのナッツへの転作が進行し、毎年新規植え付けが増加しています。
現在カリフォリニアのクルミ農家5,000軒で栽培面積は44万エーカー(約17.8万ヘクタール)。
この10年間で栽培面積(未収穫の若木も含む)が65%、生産量は50%増加しました。
カリフォリニア栽培面積と生産量(米国農務省)単位:Acre :エーカー
年度 栽培面積(収穫可能) 未収穫面積 合計 収穫量
2012 270,000 N/A N/A 497,000
2013 280,000 45,000 325,000 492,000
2014 290,000 N/A N/A 571,000
2015 300,000 65,000 365,000 606,000
2016 315,000 N/A N/A 689,000
2017 335,000 65,000 400,000 630,000
2018 350,000 N/A N/A 679,000
2019 365,000 75,000 440,000 653,000
2020 380,000 N/A N/A 780,000
*2003年より調査開始、2年に一度実施 NA:この年に調査実施していません。
*栽培面積 単位:エーカー *生産量 単位:ショートトンショートトン
(1)品種
米国の主流の品種(2020年産)Chandler 57.21%
Howard 13.56%
Tulare 16.55%
小計 87.32%
従来の品種 Franquette(信濃ぐるみの祖先)は僅か0.37%。
欧州殻付市場用 Hartley 4.39%と減少の一途です。
Livemore は渋皮部分が赤色で非常に珍しい品種です。0.15%
(2)2019/20年産生産量
2020年産 収穫量は2019年産の653,000stを19%上回る 780,000stです。
栽培面積(Bearing Acres 収穫可能面積380,000エーカーと昨年度比4%増 (昨年365,000エーカー)
1本あたり1,197個(平均)のナッツか取れます。(昨年983個)
殻付ナッツの重量は平均22g 幅32.2mm 対角長さ33.2mm 高さ38.6mm
サイズ的には1、Tulare 2、Chandler 3、Howard の順の大きさと思います。
味は一説によるとHowardが良いとか言われますが、色が多少変わるとの指摘もあります。
(3)エーカー(面積)の説明
1エーカー(ACRE)は, 1,224,17坪 または 40.4686アール(0.40486ヘクタール)(4046.86㎡)
1エーカーあたり76.8本のクルミの木を植えています。